お盆休み、最近読んだ本。通勤がないと雑誌多めになる。
『パリ行ったことないの』久々の山内マリコさん。タイトル通りパリ行ったことない人々が次々出てくる短編集やけど、すごいのは主人公が老若男女多岐に渡って置かれた状況もさまざま、それを描き分けながら一貫して「パリに行きたい」ことをテーマに小説として成り立たせてるとこ。マリコ節もちゃんと孕ませてて、単におしゃれOL小説として終わらせず読者層を広げてる辺りもさすがです。だけどやっぱり初めて読んだ『ここは退屈迎えに来て』の衝撃は超えないよなぁ、、と、最近事あるごとに思ってた「新鮮さ」についてまたもや考えさせられた。本作が決して『ここは退屈〜』よりも退屈(おっと失礼)な小説とは思わないし、順序が違えばこちらがステイトオブアートになるとも思うけど、何事も「処女であること、童貞であること」というのは大事で、いざ本番を迎えた瞬間こなれてしまうのは受け手のアカンとこなのよ、、と悲しくなった。
『AERA』は星野源の対談集。異分野の交流、、に見えがちやったけど、いざ読んだ後は結局星野源の、ファミリーとは言わないまでも親族くらいのコミュニティの人が大多数で、もっと相手は振り切った人を見たかった(B’zの松本さんとか笑)と思った。バナナマンの設楽さんも期待して読んだが終始マジメで、いやマジメは決して悪くないけど、普段お二人のラジオを聴いてれば知ってることの範囲を出ない内容で少し残念やった。ダントツで良かったのはバカリズム。この人は映像で見てもおもしろいと思ったことはほぼ無いけど、それは表情とか喋り方で面白さが(個人的に)損なわれてるだけで、今回のユーミンのくだりとか声出して笑った。言うなれば「文字起こし芸人」みたいな。やから脚本とかも映えるんやろかと思った。
『文藝 2018年夏季号』はずっと読みたかった「追悼 ECD」。磯部涼さんの文章に泣きそうになった。
植本は、告別式でECDの父親としての遺言は「子供たちを頼むね」だったと語っていた。音楽を愛してやまなかった人間は、音楽そのものになったのかもしれない。レストインピース?いや、彼はここで生きている。
表現者としてのECDは音楽でも本でも作品を世の中に残してるんで、作品を通じてまだまだ彼を知ることができるという点では死して尚ファンを増やし続けられるというパワーはすごいなぁと思う。あと書評にあった古川日出男さんの『ミライミライ』、めっちゃ面白そうで読みたい。