『私たちの世代は』 / 瀬尾まいこ
たまたま寄った書店でブックサンタという、本を選んで児童養護施設などに寄贈できるプロジェクトがあることを知り、いろいろ考えて瀬尾まいこさんの『卵の緒』を購入した。その際についでに自分に新刊買ったれと思って買ったのが本書。ご本人が紹介されてるpodcastも聴いてたが、コロナ禍を過ごした小学生のその後という近未来を攻めつつ、瀬尾節も全開に盛り込みまくったさすがな小説。
時間軸としては小学生から社会人までと20年近くの時間を2人の主人公に焦点を当てて描いてるが、面白かったというか惹きつけられたのはやはりコロナ禍の学生時代。2020年春、小学校入学とともにコロナ禍に突入し、完全なる休校から友人を作る機会も与えられないまま部分登校・分散登校が始まり、ふとしたことがきっかけで不登校となったりいじめを受けた主人公たちを通じて、コロナ禍がもたらしたものが一体何だったのかという問いを、「マスク世代」と括られるようになる近未来まで描くことで紐解こうとしてる。ポストコロナで「社会はこうなる」と謳ったものは小説であれビジネス書であれいっぱいある気がするけど、コロナ時代を通じた「子どもたちはこうなる」と語ったものは個人的に初めてやった気がして、その観点で言うとめちゃめちゃ先進的な作品でした。
優しい母親と男友だちが出てくる瀬尾節も健在。年を取ったからか、個人的には「こんな人現実にはいないよなぁ、」というやましい感想が芽生えてしまい心から没入は出来なかったが、学生時代とかなら刺さってただろうという気もする。映像化もしやすそう(来年あたりマジでされそう)な王道作品、イマの小説!というか感じます。