2024年あけましておめでとうございます。
去年もたくさん本を読めて良い年やった。色んなジャンルを読めたことが変化点。ここ数年は地域の独立書店を応援したい思いから、変に固執してしまい読むジャンルが偏ってしまってたけど、今年は読書会に参加したりpodcastを聴き漁ったりする中で知った、海外小説や漫画など素晴らしいジャンルに出会えた。また、津村記久子さんや中村文則さん、瀬尾まいこさんや川上未映子さんといった、学生時代好きだった作家の新刊も積極的に読めた(川上未映子さんの『黄色い家』は特に素晴らしかった)。
去年はカミーラ・シャムジーさん『帰りたい』が良すぎたと同時に、自分が今までほんとに無知だったことを知らされた。故に今年はもっと知らねばという思いから、年末に買った『ガザとは何か』をベースに、もっと世界情勢について知る年にしようと思います。
1位 帰りたい / カミーラ・シャムジー
イスラム国に参加した弟家族の小説。社会性とエンタメの絶妙なバランス、オールタイムベストな1冊。
2位 愛は時間がかかる / 植本一子
トラウマ療法についての日記。治療そのものよりも帰り道の日記描写に心打たれた。
3位 ぼくに流れる氷 / マイク・ライトウッド
ゲイの主人公の小説。前作『ぼくを燃やす炎』と合わせることで初めて完結。物事を一面的に見てはならず。
4位 人生ミスっても自殺しないで、旅 / 諸隈元
全財産握りしめて欧州を旅する著者の日記。世界遺産に行こうがダメな自分はダメなまま、という逆説的なポジティブメッセージ。
5位 ファミリア・グランデ / カミーユ・クシュネル
継父の性犯罪の30年越しの告発本。家族みんなが敵に回る構図は圧巻、本でしか成し得ない緊張感。
6位 A子さんの恋人 / 近藤聡乃
29歳A子さん、主人公がどこまでも魅力的な漫画。最終巻にボロボロに泣いてしまいしばしA子ロス。
7位 プロジェクト・ヘイル・メアリー / アンディ・ウィアー
上下巻アガりっぱなしSF小説。宇宙でひとりぼっちかと思いきや中盤以降怒涛の展開、映画も楽しみ過ぎる。
8位 ママはキミと一緒にオトナになる / 佐藤友美
小学生と二人で過ごす育児エッセイ。子どもと大人という構図ではなくあくまでヒト対ヒトであるというスタンスが素晴らしい。
9位 八月の母 / 早見和真
団地で起きた集団暴行事件を基にした小説。連続する不幸の中で、最後連鎖を断ち切る作りになってるのが救いではあった。
10位 聴こえない母に訊きにいく / 五十嵐大
コーダの著者が母親のルーツを辿るエッセイ。家族ものとして片付けられない社会性も含んだ良書。
11位 あした死ぬには、 / 雁須磨子
ストーリーや絵のタッチの温度感がど真ん中過ぎる漫画。不幸も不幸と描写し過ぎず、かと言ってチープにならない見事な作品!
文筆家たちの三者三様日記。上半期は滝口さん金川さん、下半期は植本さんにやられた1年でした。
13位 波 / ソナーリ・デラニヤガラ
スマトラ島沖地震に遭い、ご両親・夫・子2人が命を落とし、著者ただ一人生き残ったという実話。10年以上かけてトラウマに緻密に向き合ってくという唯一無二の作品。
今年初めて読んだバンドデシネ、北朝鮮から脱北しようとする少年とその家族を描いた漫画。タイトルと装丁でキョーレツそうな印象やったが想像以上やったし、漫画という表現技法について改めて考えさせられたとても良い本。
15位 これは私の物語 / 田尻久子
選書本として勿論サイコー、ただ冒頭の言葉が忘れられず。全ての読書好きへ!
本を読むと想像力が鍛えられる。想像力が増す、ということは人の痛みに敏感になるということだ。人の痛みに気づきやすい人は心配事が増える。
それでも、人の痛みを見過ごすよりはずっといいと思ってくださる方は、バトンを受け取ってくださると嬉しいです。