- 作者: スティーヴン・キング,Stephen King,山田順子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/03/25
- メディア: 文庫
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『スタンド・バイ・ミー』 / スティーブン・キング
★ × 87
内容(「BOOK」データベースより)
行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。他に、英国の奇譚クラブの雰囲気をよく写した1編を収録。
図書館で『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を探していたら本作を見つけ、あぁ映画懐かしいな…と過った直後、えっこれ原作スティーブンキングだったの!?という衝撃の衝動のまま借りました。
いやはや無知でした…
ゴーディ、テディ、クリス、バーンの4人は、ある時ブラワーという少年の死体の存在を知る。
彼を見つければ一躍有名になれると考えた4人は、歩いて1日以上かかり、線路沿いをひたすら行き山を越えたところにある死体を探す旅に出ます。
この設定、思い出すだけで昔BSで観た映画の記憶が蘇り甘い気持ちになりました。
まあかなり記憶が曖昧なので詳細は覚えていませんが、小説では4人のこの冒険ロマン譚が、大人になった主人公ゴーディがかつてを振り返る昔語りとして展開されていきます。
だから言語表現も限りなくアダルトだし、「大人がかつてのキラキラした青春を振り返るオナニー」行為を、読者が想像せずとも既にゴーディが実行しながら描いてあるわけだから、こちらはただ読むだけで十分甘酸な気分に浸れるのです。
本作の肝である4人の掛け合い、これは一つ一つグローバルなジョーキング、日本に固執した頭の私は初めの内これに中々慣れませんでしたが、中盤からこの小気味良さ、日本にはないテンポと言い回しに慣れてくるととても痛快でした。
数十年前の作品ですが、洋書に慣れない人でもすごく読みやすい平易な文章。
んで、やっぱりホラー作家として名を上げたスティーブンキングが書く青春小説だけあって、単に青い展開だけで終わらせない仕組みになってるのがすごく面白い。
例えばこれは映画でもすごく印象的でしたが、ゴーディが池の中で大量のヒルに噛まれ血だらけになるシーン。
小学校の教科書に載っても良さそうな題材のストーリーなのに、この気持ち悪い描写だけで教育委員会からNGだろなって程不必要にグロテスク笑。
あと線路歩く最中に後ろから来る列車の存在に気付き、4人が死に物狂いで逃げるアクションシーンも相当にハラハラします。
要は甘酸っぱい青春ラプソディーに加え著者独特の味付けスパイスが効いてることによって、真っ直ぐな少年も拗らせた大人もダブルで楽しめる作品になってるなってのが、これまであまり洋書を読んだ経験のない私のような読者も味わえる風になってます。
映画未視聴の方も是非オススメの一冊。買わずとも、図書館に必ずあると思うので借りてみて下さい。