今日マチ子さんの画集『From Tokyo わたしの#stayhome 日記2022-2023』読了。
『Distance』『Essential』 に続く3作目で3部作であり、本作で完結。頭文字がD→Eときて、Fは「Finalかな、、」とか安易な想像しかできてなかったけど、なんともオシャレなタイトル(と装丁)やった。
2020年初頭から突入したコロナ禍で、2、3日に1枚のペースで描かれた絵と短文がまとめられたもの。3作目となる今作は2022年であり、オミクロン株大流行な中でも徐々に騒々しさは収まり、イベント・海外旅行の再開やマスクオフなどの流れになった1年。絵や短文で描かれる情景も、2020年が舞台だった『Distance』と比べると随分に明るいものも増えた印象。
角田光代さんが寄せてるコメントが、このシリーズが世に出た意味を見事に表してた。ほとんどの登場人物がマスクしている画集は、確かに貴重だ。その意味でずっと持っておきたい3冊。
私はここに描かれた、だれかの日々のひとコマを見ることで、自分の上にも流れたその時間を思い返すことができる。確実に2022年があり、1日1日があったと、自分自身に証明することができる。
旅先ですれ違う人たち、すれ違わなかった人たち、それから、私のいないところで暮らす膨大な数の人たち、全世界の人たちが、ひとしくおなじ「あのとき」を持っている。この作品集をめくることは、その大勢と語り合うことだ。二〇二〇年の、二〇二一年の、二〇二二年のあのとき、あなたはどこにいて、何を思い、何をしていた?これからもっともっと日々が過ぎ、私たちはいつか忘れてしまう。二〇二〇年の異様さも、二〇二一年の慣れも、二〇二二年の倦怠も、私たちの重要な瞬間も、きっと忘れてしまう。
だから私は今日マチ子さんのこの三冊を、ずっと持っていようと思う。あのとき何をしていたっけ。ページをめくれば、そこに私がいるし、私以外の全員がいる。ひとしくおなじ時間のなかにいる。この作品集は、だから私にとって、居場所みたいなものになるはずだ。