岸正彦さんの帯を見て購入。体を売って生活を営む沖縄のシングルマザーに密着したドキュメントもので、彼女たちは共通して暴力やレイプを経験している。著者上間さんは教育学専門の方で、そういった経験のある女性を支える立場でインタビューや文字起こししてるが、驚くのが上間さんの彼女たちへの密着度合い。もう、親や恋人といっても過言じゃない。夜中じゅう寄り添ってメールもすぐ返し、中絶手術も出産も立会う、こんなのフツーの研究のレベル超えてる。そしてだからこそ、文字起こしされた彼女たちの素直さがめっちゃ伝わってきて、一編一編短いのに感情移入する。勿論ここに出てくる話はあくまで被害を受けた彼女たちの視点と、彼女たちに寄り添う上間さんの視点からだけ語られるので、全部が全部暴行した男の身勝手さかどうかは分からんが、それにしても金も体も全部傷つけられた挙句赤ん坊だけを置いて残された彼女たちの境遇は余りに理不尽です。
来年度から娘が保育園に入るので保育料とか詳しくなったが、俺の住む三ノ宮は世帯の年収で払う額が大きく変わる。一番安い層と高い層では月々の支払いが10倍以上違うのだ。それってつまり同年代の親でも年収が10倍以上違うってことで、それって一体なんなんやと思ってたが、本書を読むと分かる。こんな境遇に立たされても子どもを育て身銭を稼がざるを得ない人たちがいる。その上保育料を要求される。10分の1どころか、なぜ無償じゃないのかとすら思う。そういった疑問を持つという意味でも本書を読む価値がある。センセーショナルな内容になりそうなテーマだが物凄く丁寧に書かれてる素晴らしい作品でした。