伊藤絵美さん『つらいと言えない人がマインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。』読了。
もともとは荻上チキさんのエッセイで、彼が鬱状態になった頃に読んで救われたというエピソードで紹介されてた本書。俺は別に現状、鬱というわけちゃうけど、メンタル系の知識は日頃から奪える要素がたくさんあるんで読んでみた(タイトルはアレやけど、、)。
シンプルにまず、文の読みやすさに感動した。こうゆう分野の本に手を出す読者の中には「今もう、ヤバいんです助けてください」な状況の方もいると思うけど、そういったターゲットも考慮されてる感が文章からヒシヒシと伝わってきた。決してネガティブに書きすぎないし、かと言って堅苦しい論文調にもなりすぎず、いい塩梅で学問を伝えてくれる。著者が過去診療した複数人の事例ベースで紹介しながら進行してく設計もめちゃ分かりやすかった。
んで肝心の中身もとても腑に落ちた。認知行動療法には複数のレベルがあって
- セルフモニタリング(自己観察): 何がストレスになってるのかの分析
- 気付き: どういう反応をしているのかの把握
- マインドフルネス: セルフモニタリングの延長。自らの体験に、リアルタイムで気づきを向け、評価や判断を加えずにそのまま受け止め、味わい、手放すこと。
- スキーマ療法: 深いレベルの継続的な認知。1-3は自動思考(浅いレベルの認知スキーマ)であり、真の回復に至るには心の深いレベル(スキーマレベル)で理解して癒す必要がある
と分けられている。子育て本によく出てくるアンガーマネジメントとかは多分1, 2の「現状把握」とかに位置するもんで、「今を認知する」ことが大事だってことはなんとなーーく知ってたけど、これらセルフモニタリングやマインドフルネスってのは自動思考レベルに位置してて、もっと深いレベルで根本治してくスキーマ療法ってのがあるとは知らんかった。勿論ケーススタディされてる方の話を読むと、安易に飛びつけるほどできるもんではない、専門性と時間を要するメソッドであることは分かるけど、「こういった根本対策もあるのだ」と知るだけで救われる人は少なくないと思う。
とにかく文が上手い。チキさんが本書に救われたというのも納得。お節介承知で、もし周りに苦しんでる人がいたらお勧めしたい、、と思える一冊、留意しておこう。
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