サイモン・シン著『数学者たちの楽園ー「ザ・シンプソンズ」を作った天才たちー』読了。アガりまくり!
アメリカ史上最長のテレビアニメ「ザ・シンプソンズ」。個人的にはスヌーピーのような、社会風刺の効いたアメリカぽいアニメ作品というイメージやったけど、そこには数学的要素がこれでもかと詰め込まれたギークアニメだ、ということをサイモン・シン×青木薫のタッグで解説されたもの。もう、これだけで読む前からアガらざるを得ん状況やけど、中身も期待通り・期待以上の爆裂作品でした!
全部で17章に分かれているけど、基本構成としてはとあるエピソードを取り上げて、そこに含まれている数学的意味合いを著者が解説するというもの。たとえば作中に出てくる黒板に何気なく書かれた
という等式、特にアニメ内で解説されるでもなく流されるらしいんやけど、ここに込められたトンデモ数学要素が面白く解説されてる。
ちなみに上記は、下記等式を満たす自然数x,y,zは存在しないという
> 2)
フェルマーの最終定理を知ってる人なら唸ってしまうギークさ(気付ける一般人どれほどおんねん)。この定理はワイルズという数学者が完全に証明しきってるので、黒板に書かれた等式は成り立つハズがないんやけど、1998年という公開当時に市販されてた電卓が表現できる桁数だと成り立ってまうという高度過ぎるジョーク笑 実際Pythonで確かめてみたら小数点第十何桁レベルの誤差があった。
他にも
- パンケーキソート問題・・・サイズの異なるN枚のランダムに積まれたパンケーキを、サイズ順に並べ替えるために必要なひっくり返す回数を求める問題。実は超難しく、今なお定式化されておらず、20番め目のパンケーキ数を計算できていない。ちなみにビルゲイツが学生時代に書いた唯一の学術論文のテーマ。
- 回文平方数・・・後ろからも前からも同じになる平方数(121とか)。1000億未満の回文平方数は35個あるが、そのうち偶数なのは698896(836^2)のみ。
- 円周率の歴史・・・円の外接と内接の矩形を使うことで円周率の範囲を出すやり方で、5世紀には正12288角形で3.1415926と3.1415927の範囲が出ていた(17世記には40億の10億倍。。。)
などなど、はっきり言ってシンプソンズとは無関係な数学ギーク集がズラリ。ただその絵も言えぬロマン、そしてサイモンシンの語り口が1つ1つをめちゃくちゃオモロいエピソードに昇華してて、全く飽きることなく読めた。『フェルマーの最終定理』や『宇宙創成』のように特定の事象を時系列で追ってるワケちゃうのに、この頁ターナーっぷりはマジで異常やな、、久々にこの系統の本読んだんもあるけど、なんか刺激欲しいなってヒトに激オススメ!