3月8日は国際女性デーだったということで、最近読んだフェミ本のレビュー。『愛すべき娘たち』『大邱の夜、ソウルの夜』『僕の狂ったフェミ彼女』の順に面白かった。
『きのう何食べた?』のよしながふみさん。女性たちが母親との関係や仕事との向き合い方について悩む姿を描いた短編集だが、絵の巧さからストーリーや台詞の温度感、細部までめちゃめちゃ趣味に合ってるし、この内容が2003年に描かれてたということに驚き。特に4話目が好き。中学生だった女子3人のうち、牧村はたとえ女性だろうが、民間企業で定年まで勤めるという夢を語ってたけど、時間が流れて目指す姿が徐々に変わっていき、最終的に「嫁」になることで精一杯という、社会におけるマイノリティとして女性の立場、ガラスの天井の不合理さを描いた見事な短編。しかもこの問題提起系の設定にも関わらず決して扇情的な描き方をしてないところがめっちゃ趣味に合う(後で書くけど『僕の狂ったフェミ彼女』は真逆。。)。今更ながらもっと他の作品も読みたくなった。
韓国漫画なんて初めて読んだが、小説や実用書同様、ここにも韓国イズム極まり、、という感じで、『サブリナ』読んだ時と同じようにガツーンとやられた。結婚したことで夫や姑、息子との関係に苦しむ様や、母親の呪縛から解き放たれない様などが、決して上手くはないが独特のトーンの絵を通して見事に伝えてくる。家族で帰省する際、出発時に息子の準備を済ませてから自分の支度をしていると「遅いぞ、まだかよ」と言ってくる夫。夫の実家で、男どもだけが集まって酒飲むから、帰りの車の運転のため女性たちは飲酒できず、且つ酔いつぶれた役立たずの男どもを尻目に子供達の寝かしつけをしなければならない女性たち。。もうこのあたり、「今の時代流石にここまではないやろ」と無下に否定出来ないような、どこにでも溢れている当たり前の異常な日常がうまく描かれてて胸が苦しくなる。また、あとがきで今更知ったが韓国は出生率がすでに1切っているOECD加盟国唯一の国という衝撃。小説や実用書で韓国のヤバさ(いや日本も十分ヤバいが)をまざまざと見せつけられて読後にしばらく呆然としてしまった。
こちらも韓国文学。小説。どうやら映像化もされているらしく、武田砂鉄さん帯ということもあり、ジャケのイケてなさには目を瞑ってワクワクしながら読み始めたが、個人的には全く刺さらなかった。なんというか、フェミニズム事例集、という感じ。もちろん描かれてることは全て問題提起で、こういった何気ない発言に女性は傷ついているんだ男性ども、という主張はよく伝わってくるんやけど、そのメソッドがちょっと扇情的すぎというか、エクストラメーションマークや文末の三点リーダーがあまりに多くてちょっと冷めてしまったというのが事実。ストーリーも、かつて付き合っていた女性が時を経てフェミニストになっていて、周りからは理解されないけど私を貫いて生きていくというものだが、コメディタッチで低めのギャグセンで役者たちが演じる映画作品がなんか頭に思い浮かんでしまった。。すみません、ちょっとボロカス書いてますが実際そんな感じやった。