マリヲ『世の人』読了。
去年読んだ堀静香さん『せいいっぱいの悪口』を出版してる百万年書房。今回もエグいジャケセンスであり、本屋で見かけて刹那、何も知らんままジャンピング購入。
阪急淡路在住のラッパーである著者が、薬物で度々捕まって入れられた刑務所やダルク(薬物依存からの回復を助ける施設)、出所後の生活風景などをズラズラと綴った日記。薬物やアルコールの影響からか、時間軸もイマイチ不正確だし、正しい文法で書かれたものではなく読みにくさはある(逆接の接続詞が一文に複数回出てきたり、読点だらけでなかなか句点に辿り着かなかったり)。
けど不思議と読めないというわけではなく、それはなんと言うか、書き言葉ではなく、頭の中の「考え言葉」なるものが書面用にコンバートされずにそのまま文字に起こされてる、という感じがする。そしてその乱文の中にふとオアシスのように、著者の心のうちからバスンッと出てくる文章がありハッとさせられた。
面と向かって「あなたには障害があります」と言われて安堵した人はどれだけいるだろうか。世の中にある保障とか、世の中の隙間、自分がいてもいい場所が与えられた気持ちがするのはなぜだろうか。そんなものは自分でいちから作り上げないといけないと頭ではわかっていても、やっと自己紹介ができるような気持ちに、なるのはいけないことなのだろうか。
描かれてる状況は結構過酷なため、読むタイミングを選ぶ本。