友人の勧めで『ギフテッド』を観た。素晴らしかった。娘が生まれてから2年間ずっと感じてたことを見事に表現してくれてる!と感動したので忘れんうちに書いとこう。
メアリーは自殺した天才数学者を母親に持ち、7歳にして数学の高度な問題を解く知能を持つギフテッド。主人公は母親の弟、つまりメアリーの叔父にあたるフランクで、メアリーを6年間育ててたものの、小学校でその稀有な才能に気づいた学校サイドが、メアリーを特別な環境へ移そうとする話。作りはほぼ『アイアムサム』で、「ここで泣け!」というポイントも分かりやすく提示されてて、そういった意味では非常にシンプルな映画やった。ただとにかく作中のセリフが要所要所でビシビシ刺さって仕方なかった。特に、観た後も次の日も反芻してたのが、メアリーを養父母に取られたフランクが言ったセリフ(ちょっとうろ覚え)。
6年半育てたのは、育児に自信があったわけでも、姉に言われたからでもない。
いつも、児童相談所に電話しようとしたが、その度にメアリーに驚かされてきた。
笑ったり、泣いたり、怒ったり、可愛いんだ。
この台詞が、今までたった2年間1人の娘を育てただけの俺やけど、ずっと何となく感じてたことをズバッと言葉にしてくれたようでしばらくジーンとしてました。
「親は子に100%愛情を注ぐべき論」みたいのっていろんなとこで取り沙汰されてて、けどそれに対して「親も1人の人間。1人の人生。」みたいな風潮もあるにはあって、俺は後者の論を村上龍の『最後の家族』を読んで学んだけど、子育てに関する記事とか読むとやっぱり前者の論が根付いてて、後者については言いにくい雰囲気があるなぁと個人的にこの2年感じてた。勿論、突然歩き出したり喋り出したりする娘や、保育園でびっくりするくらい自然に振舞ってる娘を見て涙出そうになる時もあって、こんなにも我が子は可愛いもんかと、生まれるまで子どもがどちらかと嫌いやった俺が思えるほど娘にはパワーがある。けどやっぱり仕事から帰って来て1時間以上ひたすらベッドで寝かしつけて、挙げ句の果てに自分も寝落ちしてた時とかは娘にイラッとして、そんな自分に自己嫌悪を感じる。
とかいう繰り返しで未だ育児には全く自信がなく、けど産んだのは親の勝手やからきちんと育てろという無言のプレッシャーを感じながら2年間過ぎた。そんな時に観たギフテッドの台詞、
そう、そうよねぇ、何で子どもを育てるかって、
可愛いからなんよねぇ!!(狂喜
初めて言った美容院で緊張で一切声を発することなく散髪され、川島小鳥の未来ちゃんと化した娘が散髪後に安心して俺に飛びついてきた時とか、
普段「かっか(奥さんのこと)」「ぱっぱ(俺のこと)」と呼んでる娘が突然「〇〇(奥さんの下の名前)!△△(俺の下の名前)!行くよぉ〜!」と言った時とか、
自分の思い通りにならず怒りが頂点に達した娘が、慰めようと近づく俺に「ぱっぱ、バックして〜!(後ろ下がって〜!)」と、急に会話に英語を挟み込んで来た時とか、
あぁ、こうやって子どもを育てて来た1番の理由って、娘がこんな風にとにかく可愛くて、そんな娘が頼ってくれるのが俺やから、自分の生活や性格を変えてまで育てようとするんやなぁ、
と、それはそれはおセンチな気分になって映画を鑑賞しました。
育児に自信がないとか当たり前で、とにかくこの可愛さをもっと見たいから一生懸命育てよう、という気持ちを持ってこれから数十年間を過ごしたい、という何とも真っ直ぐな気持ちになりました。あぁあホンマに素晴らしい映画やった。素晴らし過ぎたので、そのあと観た『ペンタゴン・ペーパーズ』のレビューはいいや、、笑