昨日の夜有馬温泉に家族でホタル観に行ったが、緊急事態宣言下で見事なまでに店が閉まってて、ホテルと金の湯だけ空いてて、明治時代の温泉街ってこれくらいの暗さと趣やったんかな、、とちょっと神々しさすら感じた。明日からマンボウ?に変わるらしいんで賑わいもまた少し変わってくんやろか。この1.5年ほどほぼ夜に外出してなかったが、やぱ緊急事態宣言ってやつは世の中をゴリっと変えてたんやなと今更実感した。
しまおまほさんエッセイ『家族って』読了。
タイトルと装丁からてっきり育児エッセイを想定(子音踏み)してたが、そのエッセンスはちょっぴりで、ほとんどが著者の子ども時代から遡って周りの人々との交流を描いたエピソードやって、個人的にはちょっと期待外れやった(調べもせず買った自分のせいです、すみません)。ただ、各エピソードの情報の粒度が尋常じゃない。「何でそんなこと覚えてんの!?」てくらい思春期のエピソードが細部まで緻密に描かれてて、しかもそれが(ホンマかどうかは知らんけど)めっちゃリアリティあって、あぁ周囲の情景を受け取る能力がめちゃ高い人なんやなと感心した。
そしてその能力がズ抜けて発揮されてると感じたんが、東日本大震災発生日に職場から家まで歩いて帰る中での情景と、今3歳の息子を保育園から連れて帰る情景を絡めた終盤のエッセイ。
昨日と今日がまったく別のものになってしまった三月十一日。あの日、未来がなくなったと思った。明日も、わたしは息子と保育園へ行くだろう。帰りも一緒に歩いて帰ろう。明日がきたら、そうしよう。
「帰る」行為は同じであれ、明日に向かってるか否かの違いでこんなにも違う受け取り方になるのかと感動した。この粒度で敏感に生きてたらさぞ生きにくかろう、、と無駄に心配もしてまうが、願わくばいずれ育児特化のエッセイを書いてくれますようにと星に願いを込めたくなるような魅力ある文のエッセイでした。