『46歳で父になった社会学者』読了。
社会学者の工藤さんが綴った、46歳で父親になってからの育児本。社会学者という職業柄か、育児で流れる時間に対する観察眼というか解像度がとにかく高すぎるとこに笑えたり感心したりした。
朝何時に起きて何ccのミルクを飲み、何分散歩したあと何分寝て、、という粒度で、金太郎飴のように育児時間を切り取ってく様はいい意味でめちゃ異様(近所のパパ友に正にこんな感じの人がいて、途中から彼にしか見えんかった、、)。
ただ決して我が家で閉じた話ではなく、パブリックな場でのベビーカーの地位の低さや、少し育児に参加するだけで褒められる男性に比して女性があまりに子育ての責任を負わされすぎてる世の中に疑問を呈するところなど、育児を皮切りにしてスッと社会学する感じが、ただのパパ育児本に終わってなくて素晴らしい。著者にとって物を書くことがある種の生業なので、息子の記録を奥様ともども自然に苦なくつけてるのも心があったまった。
生まれた時からじゅんが私たちの中で有名人であったことを残してやりたい。妻が言った「じゅんくんがこれからの人生でなにかつらいことがあったとき、手にとって『自分の人生がつらいものであるはずがない』と思える物をつくってあげたい」に通じることだと思う。
話逸れるが昨日上の子が、親から一切切り離されて1日アウトドア体験に行ってきた。大人も子どもも知り合いのいないNPO団体に混じり、途中で挫折して帰らされるんちゃうかと1日ソワソワしてたが、終わってみれば笑顔で元気に帰ってきて、保護いただいた方からも「初めて参加したとは思えない程馴染んでました」と言われて安心したと同時に「これが親離れか」と若干涙出た。
少なくともこういったイベント毎に対してはこうやってブログとかでなんとかプチ育児日記をつけてるものの、工藤さんのような粒度で観察されてる方には頭が上がらない。ヨシタケさんの『あんなに あんなに』でもあったように、如何に日々満ち足りてるかを叩きつけられるかのようなメッセージのこもったエッセイでした。