緊急事態宣言後、人手が増えているというニュースを見たが、当たり前やろ!!!!!!!!!!
大学教授の荒井裕樹さん著『まとまらない言葉を生きる』読了。
計18個のエッセイで、そのすべてがどれも言語学者の著者から見た、最近の紋切り型社会へ警鐘を鳴らしたもの。どれもよかった、、紋切り型へのアンチテーゼを示すかのように、どれも結論を急がず、というか提示せず、「わたしは現段階で答えを持ち合わせていないのですが、少なくとも皆さん疑問は持ちましょうよ。そして考え続けましょうよ」と優しく問いかける感じ、好きやわ〜。
もしも私が自分の生きる意味について論証しようとして、うまく論証できなかったとしたら、わたしには生きる意味がないということになるのでしょうか。そんな理不尽な論証を求められたとしたら、私はそれを暴力と認識します。
会社でも、複雑化した事象を「要は〇〇なことやんな」と、ボキャブラ豊富で上手く紋切れる人が評価される言いたいことも言えないこんな世の中で(しかも自分もそれをカッコいいと思ってまう節もあり)、こうやって纏めることが如何に危険かを問うてて、襟を正されるようやった。
コロナ禍で書かれているため、感染者数や死者数などの数値化されたデータで日々人民が煽り煽られるこの世に疑問を呈している点もとてもよい。
今世界全体が同じウィルスに苦しめられているけれど、その苦しみの内実はそれぞれ違う。日々更新される数字の裏には、「要約」なんかできない人生が張り付いていることを忘れてはいけない。
けどこのテイストを嫌う人もいるやろな。結論を付けないことの大切さを謳うこの本に対して「で?結局ナニが言いたいの?」と詰めてくる人とは仲良くできなそう。本作をいろんな人に読ませてレビューを聞くことで心理テストできるんちゃうかと感じた。