一穂ミチさん『スモールワールズ』読了。
とある本好きpodcastで2021年上半期ランキング1位に挙げられていた小説。著者の一穂さんはどうやらBL界隈でそもそも作品を出されてたらしいが個人的には初。短編集やけど、帯に書かれた文章に恥じぬ素晴らしい作品!一人の著者が書いたとは思えぬほどバラエティに富んだ角度の小説が盛り込まれてて、2作くらい読んだ時点で、かつて乙一さんの『ZOO』を読んで震えた時と近いものを感じた。6編あるうち、『ネオンテトラ』『ピクニック』『花うた』が特に超ド級。多くないページ数の中で、無駄のない言葉で伏線を散りばめつつ、最後にはキチンと震わせてくれるプロットが一番の魅力やけど、『ネオンテトラ』で主人公が近所の貧困の子に声をかけるシーンの心情描写など、プロット外のディテールもめちゃめちゃ上手くて、これはちょっとすげえ、、、と感動した。おそらく10年前とかに出会ってたら間違いなくベストオブベストに挙げてたし、人にも薦めまくったやろなと想像した。
一番のオススメは『ピクニック』かな。。。というかものの30ページやから、(あんまよくないことかもしれんけど)先ずはこれだけでも立ち読みして喰らってほしい。直木賞候補らしいけど取ってもおかしくないであろう小説、読む本に困ってる方は是非!