僕のマリさん『まばゆい』読了。
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『常識のない喫茶店』で知った著者、本書がサイン本として出てたので即買いし1日で読み終わった。か喫茶店の日常を外側から描写した『常識〜』とは異なり、本書はひたすら内省的なエッセイ。学生時代の恋愛、異性の親友や兄弟、母親との関係、バーンアウトした新卒時代、そして今物書きとして生計を立てるようになって感じること。1章1章描かれるトピックは飛び火すれど、著者のso farな人生を丸ごと知れる作品やった。
その中でも刺さるのはやっぱ「書く」ことに対する思い。新卒で入った会社で鬱になり、電車の中で訳もなく涙流すまで精神やられたあとに、文字に起こすことで少しずつ人生がプラスに転換していく流れは読みながら気持ち詰まったし、その思いを母親に手紙形式で綴る章も素晴らしく良かった。
また沈んでしまうこともあるかもしれないが、どん底を経験しているから何も怖くない。自分のしんどい気持ちが、誰かの心に寄り添うことだってあるかもしれない。そう思うと、どんな状態でも「書きたい」と思えるのだ。
わたしは生活が書きたい。生活や、それに付随する悩みや葛藤、そして幸せに言及したい。ありふれた毎日のありふれた日常に眼差していたい。ドラマチックじゃなくてもいいから、生々しくていいから、人間らしく書けたらいい。そして、静かに続く激情に翻弄されたい。
植本一子さんや大阿久佳乃さんほどヒリつくことなく、くどうれいんさんほどポップでもない、ちょうど良い温度の文を書く著者。今後もしばらく追います!