チェ・スンボムさん著『私は男でフェミニストです』読了。これまた良書!
著者は韓国の高校教員。子どもの頃から男尊女卑な家族や社会に疑問を持ち、大学時代にフェミニストに。「なぜ男なのにフェミニストなの?」という好奇な目を向けられつつも、どうすれば性差別を無くせるか、実践教育を通じて考えに考え抜いた、という気概を感じる本。
男フェミというとどうしても女っぽいとか女の味方すんなとか、「自分は全て分かってる」みたいなフリすんなという声が飛んできたということが著者の経験を持って冒頭に書かれてる。それは俺も去年からフェミニズムを勉強するようになってから感じてたことで、別に誰かに直接的にこういったことを言われたわけじゃないけど、内から絵も言えぬ自意識みたいなものが生まれてくる感覚があった。「一方を理解しよう」みたいな気持ちが生まれるのって、結局は既得権益側の余裕ゆえなのでは?という変な感覚。被差別側からは他方を理解したいという思いなんて生まれないやろし。
けど本書は、それでも尚男性にとってフェミニズムが如何に大事かということを、文中から滲み出る苦労とともに200ページひたすらに書かれてて、俺が感じてた先の気持ちを全て肯定してくれるような、おっきな勇気を与えてくれるような本やった。P46はここに記して定期的に口ずさむようにしたい。
フェミニズムは、現実を客観化する道具である。別の観点から、以前とは異なる目線で世の中を見させてくれる。不条理を認識するように誘導し、不合理を正す勇気をくれる。耐えたり、自分を犠牲にしたりせず、譲ったり、諦めたりせず、自分らしく生きていける人生を提案する。常に我慢しなくてもいいことを、間違っていたのは自分ではなかったのだということを教えてくれる。
だから、フェミニズムは男性にも有効である。力と勇気、意志と節制に代表される硬くて狭い枠にとらわれた男性性から救い出してくれる。泣く男、喋る男、力のない男でも大丈夫だと勇気づけてくれる。
「女性は歴史上、最も長く、最も人口の多いマイノリティである」という言葉がめちゃ刺さった。当たり前すぎて見過ごされてきたこの事実にようやく意識が向いてる今のうちにもっと知るべきことを知って、時代に取り残されないようにせねばと思わせてくれる想い溢れた本。みなさんぜひ!!!!!!!