ブレイディみかこさん『子どもたちの階級闘争』読了。まじで文章うまいな〜
前半と後半で時間軸が逆になる少し不思議な作りのエッセイ。前半は著者の言う「底辺託児所」に戻ってきた彼女が、緊縮による経営難となり最終的にフードバンクになってしまうまでの2015年あたりの話、中書きが挟まったのちの後半は2008年あたり、底辺託児所を1度やめる前の話。
うまいと思うのはとにかく、下層世界の描き方。アル中やヤク中の親を持つ子がわんさか出てきて、託児所で狂気の振る舞いをするなど発達に難ある様子が見て窺えるが、そんな中でも光を見つけて正しい在り方を模索する姿にめっちゃ勇気もらえる。「子どもは何だってできる」ってことを一貫して伝えてくる。近年のジェンダー、ダイバーシティの流れで、本を読んで頭だけはでっかくなってしまってるが、著者は(言葉はダサイが)現場第一線の声を、末端を地でゆく声を届けてくれる。
いろいろな色を取りそろえる意味は、やはりあるのだ。社会が本当に変わるということは地べたが変わるということだ。それは最小の単位、取るに足らないコミュニティの1つから淡々と始める変革だ。この道に近道はない。」
特に刺さったのはどっかの章で出てきたけど、中流階級の親は移民差別はしないものの、自国の下層階級の人に対しては何故か堂々と差別するという話。(イギリスは話し言葉の語尾の美しさから、その人がどういった環境で育ってきたか、教育格差がすぐに分かってしまうらしい。)これって、悲しいけどめっちゃ分かる。他国民との共存、に対して理解は進んでる。けれど灯台下暗し、自国民間の差別って無くなってないよな。そしてあまり問題提起もされてないような感覚がある。世界を知るとは正にこのこと、肝に銘じよう、、
多分、ホンマに大変やろし、『ブロークン・ブリテンにきけ』でもあったようにイギリスという国の混沌っぷりに辟易するけど、著者のような日本生まれの外国籍の表現者が居るということは幸せなこと。他国から自国を見つめ直させてくれる素晴らしい作品、是非!