綿矢りささん『嫌いなら呼ぶなよ』読了。
4つの短編から成る作品。
整形、推しYouTuber、不倫と、「これぞ若手女性作家が切り取る社会でしょ?」と言わんばかりの敢えて感あるテーマ群で笑ってしまった。それに対して勘繰りすぎかも知れんけど、編集者に「綿矢さん、今回はこれらのテーマでいきましょう」と提案された綿矢さんが、確かにそのテーマに沿ってるものの内容は斜め上を狙った、みたいな印象を受けた。そう感じるくらい、やっぱ捻くれてて上手い。
終始ニヤニヤしながら読んだのは4作目の『老は害で若も輩』。綿矢さん自身が出てきて、編集者とメールで喧嘩し、最後「ババア死ね」で締め括られる話。はっきり言って何にも得るもんないけど笑、綿矢さんこれ書いてる時楽しかったんやろなぁと感じた。
タバブックス『仕事文脈 vol.22』読了。
「NO!論破!」「通勤は続く」の特集2本立て。去年知った小沼理さんや竹田ダニエルさんも寄稿されてて興味深く読んだ。仕事文脈の好きなところは、文を寄せてる方々の業種が広いこと。なので後半の通勤特集も、クリエイターや文筆家ばかりでフルリモートみたいな偏りがなく、サラリーマンでちゃんと満員電車で通勤してて、ちゃんと病んでる人も出てくる笑
特に前半の論破特集は啓発された。言わずもがな、近年のひろゆきブームに一石を投じたもの。仕事でも、みんな時間がないから要点をまとめて紋切り型で物事を終わらせてくスタイルがすっかり定着してるが、こういう文章を読むと立ち止まらせてくれる。特に刺さった竹田ダニエルさんの一節を引用。
何かを知らないことは、恥じるべきことではない。何かを知らないということは、何かを学べる機会がこれからたくさんある、人生を豊かにする機会がたくさんあるということだ。(略)自分をより知るために、社会をより知るために、学びと向き合うことは「意識が高い」だとか揶揄として言われがちだが、一体それの何が侮辱的なのか。何も考えなくて生きていられるのは、そうやって行動をし、何かしらの権利を弱者に与えてきた人がいたからだ。