『毒殺魔の教室』 / 塔山郁
★ × 84
内容(「BOOK」データベースより)
那由多小学校児童毒殺事件―男子児童が、クラスメイトの男子児童を教室内で毒殺した事件。加害児童は、三日後に同じ毒により服毒自殺を遂げ、動機がはっきりとしないままに事件は幕を閉じた。そのショッキングな事件から30年後、ある人物が当時の事件関係者たちを訪ね歩き始めた。ところが、それぞれの証言や手紙などが語る事件の詳細は、微妙にズレている…。やがて、隠されていた悪意の存在が露わになり始め、思いもよらない事実と、驚愕の真実が明かされていく。『このミステリーがすごい!』大賞2009年、第7回優秀賞受賞作。
第7回このミス大賞の優秀賞受賞作。
このミス大賞は通常のこのミス!とは違い、新人作家のみに限定された賞レースで、
で見る限りあまり読んだことがなかったのですが、最近ゆるい小説しか読んでなかったので、タイトルでゴリッとしたものを読もうと思い本作を手に取りました。
小学校の教室で起きた毒殺、及び実行犯である男子が2日後に自殺したという悲惨な事件に纏わる小説。
それから30年を過ぎ、実行犯の死という蓋で閉じられていたハズの事件が、担任の教師とクラスメイトにより再び開けられ、別の事実を明るみに出していくという展開です。
まず、読んだ方誰もが思ったと思いますが、
小学校での毒殺という設定、そして複数の関係者の独白(モノローグというのでしょうか)のみで展開していくという構成、何から何まで湊かなえさんの『告白』と酷似しています。
別にパクリでもオマージュでもなく、ただ偶然にカブってしまっただけだそうですが、少しビックリしました笑
ただ『告白』同様、本作も独白する関係者が変わる度に次々事件の別ストーリーが 浮かび上がっていく様はスリル満点です。
特に前半、次々とクラスメイトが別視点から事件を刻んでくところはハイライト、頁ターナーっぷりはここ最近読んだ小説の中でもトップ!
ただ、中盤以降の妙な失速が少し残念…。。
書いちゃいますが、この事件には自殺した実行犯の他に、犯行に至らせた人物がもう一人存在します。
割と早い目の段階でこの第3者がほのめかされているので、読みながら必死で探っていくわけですね。
前述の通り次々とクラスメイトが出てくるので、「どいつや、どいつやねん…」とアンテナピンピンに読み進めていったわけです。
そしたら、まさかの「これまで出てきてなかった人物」が最後に出てくるんです。んなもん分かるかい!笑
と、ちょっと肩透かし喰らいました。。。
そして前半の速い展開とは対照的に、後半は一人の人物の語りがひたすら続くという展開もちょっと失速の原因。
前半のノリでそのまま終わりまで続けばサイコーだったのですが、、まあけれど、ミステリーとしての緊張感はすごく良かったです。