太田啓子さん著『これからの男の子たちへ』読了。フェミニズムについて勉強してきたが、本書のように男性の生き方・育て方にフォーカスが当たった本は初めてで面白かった。
ジェンダーバイアス、セックス、セクハラ、性暴力、メディア表現と、世にはびこる性に関する誤った通念を一つ一つ皮を剥ぐように正していくような本。よくあるジェンダー本が扱うテーマではあるが、男を敵に見立てて「立ち上がれ!」と鼓舞するような女性向けのものではなく、男性に向けて書かれているのが新しいな、と感じた。
特に刺さったのはやはりジェンダーバイアス。保育園帰りの公園とかで毎日のように「男の子やろ、泣くなや!」とあえて周りに聞かせるくらいの声量で息子を笑って叱るお父さんや、「ホンマ男の子ってアホやなぁ」と、息子を持つお母さん同士であるある的にエンパワーし合ってる姿を見て違和感を持ってたんで、やっぱあれは普通であってはならないのだということを知れて嬉しかった。もちろん、女の子が世話焼きで男の子がヤンチャ、という傾向はあると感じる。ただしその「傾向」の通念に埋もれて、世話焼きな男の子やヤンチャな女の子が一括りにされて生きづらくなってはならない。あくまで個々で捉えなければならない。4歳の娘が保育園でピンクやハートのシールを先生に貼ってもらって帰るのを見るたびに持ってた違和感も正しい。たとえば青の稲妻とかが好きな女の子がいてもいい。世の中にはいくらでもジェンダーバイアスが襲ってくる場面があるが、我が子だけは個で見るのだ!!と、本書を読んで強く思った。
あと小島慶子さんとの対談であった、もはやおじさん(33歳の俺も含まれるのか・・!?)たちの性の理解を更生するのは労力に対して見返りが少なすぎるからはなから諦めて、次世代の少年に向けて説明していきたいという話は、笑えるとともに男性としてただただ恥ずかしくなった。タイトルはまさにその皮肉が出てる(ターゲットは「男性」ではなく「これからの男の子たち」)。ただ同時に0歳と4歳の子を持つ身として、まだ真っさらな気持ちを持った子どもたちだけでも、このひねくれた世の中に埋もれぬよう生きていってほしいと思う。親は、そうさせる責務がある。