『シャドウワーク』 / 佐野広実
『ファミリア・グランデ』と同じくSummerReadingで選書されてた作品。あちらは近親相姦でこちらは夫婦間DVと、重めの読書が続いた、、が、こっちは小説であり、問題提起はあるもののエンタメとして先が気になって楽しめる構成になってたので一気読み。
初めて読んだ著者、佐野広実さん(今調べて衝撃受けたんやけど男性だったのね、、!)。他作品も社会問題を題材にした小説を多く出されてるみたいやけど本書もそう。夫に身体的DVを受けている女性がシェルターに身を隠し、同居者たちと協力して「ある事」を遂行していくシスターフッド的小説。
「ある事」を書いてしまうと物語の核の部分がほぼ露わになってしまうんで書かんときますが、エンタメミステリーし過ぎてない、現実にもありそうなギリギリのリアリティを保ってて見事な設定やった。「ある事」自体はあり得ないかもしれんけど、けどそこに至ってしまう程家庭内暴力は社会問題なんだぜってことを強くメッセージングしてる。
個人的にメッセージ性の部分が強く浮き出すぎて、紀子や薫といった主要な登場人物たちの顔があまり思い浮かばず身近に感じられなかった印象は受けた。けど下世話な話かもしれんけど、若い有名俳優さんたちを起用して即映画ができちゃうような作品でもある。社会派小説とか好きならマジドンピシャと思われる一冊でした。