ヒラリー・レイル『キッズライクアス』読了。チョベリグ!
『ぼくらのサブウェイ・ベイビー』で知ったサウザンブックス社から出てる、クラウドファウンディングで和訳された小説。主人公のマーティンは高度発達障害(自閉症スペクトラム)だが、母親の都合で夏休みだけフランスで「普通の高校」に通うことになり、そこで恋に落ちた同級生はじめ、いろんな人と出会っていくストーリー。読んでる最中・読み終わった後、たびたび小説で久々に「あぁ〜、、、読んでよかった、、」と目をつぶって深く腰掛けたくなる感覚やった。なかなかのページ数やけど、読みながらずっと考えさせられた。
マーティンの周囲には母親、父親、恋に落ちたアリスと信頼できる人物がいるけど、皆マーティンに対する思いが異なってるのが興味深い。
母親は息子のことがわからなくて怖いと割とはっきりと示してるし、父親はマーティンを理解しているようで、結局犯罪に手を染めてしまう。アリスはアリスで分かりにくく、マーティンを心から愛しているようにも見えるけど、心からの理解はできないという風に感じた。けどあとがきにもあったように誰からも
「理解しようとはがんばるが、理解できないかもしれないが、けどあなたが好き」
というトーンが伝わってくる。一言で書くとネガティブに見えるけど、それくらい他者と関係を築くことは難しくて大切ってことが、全般通して書かれてる、この温度感は、安易に紋切るエンタメ小説に比して丁寧に慎重な印象でめっっちゃ好きやった。
パンチライン集になってるのも、集中力切らさず読めた理由。現時点で気になったとこをメモしておこう。子どもたちにも大きくなったら読んでほしい一冊、おすすめです!
定型発達の人たちは、僕らにやたらと投影する。あの人たちは分かっていない。僕らは僕らとして生きることしかできないということを。目の色、男か女か、人間であるということまでも、別のものに取り換えることができないように。
「自分の殻に閉じこもる」性質をしているというのは、外側から他人が見た一方的な見方に過ぎない。ぼくの内側では、ぼくは決して自分の殻に閉じこもってなどいないのだ。
「あなたは頭の中に自分の世界の映像がはっきりあって、他の人の映像と違ってるだけなのよ。」