『A子さんの恋人』 / 近藤聡乃
本屋を巡ってポツポツと買い足しては読み、どんどんA子熱が高まっていったものの、最終巻の7巻だけがどうしても見つからず、不本意ながらAmazonでポチ、、ようやく読み終わった。
あーーーーーーーーもう素晴らしい × N !!!!!!!!(ただしNは自然数) ボロボロに泣きながら読み終わりました。読み終わってしまって寂しい!!読み終わってしまってないあの頃の私に戻りたい!!!
主人公A子さんと、A子さんの学生時代からの友人A太郎、K子、U子、I子、そしてニューヨーク生活でできたA子さんの彼氏A君にまつわる話。
ファーストインプレッションは緩い絵とセンスあるギャグが強かったけど、読み進めるほど登場人物(というか著者近藤さん)の恋愛観・人生観が色濃くなっていき、最後7巻に至った頃にはもう人間ドラマとしての世界観が完成しており、「あぁ、終わってほしくない!」と心から思った。それくらい緻密な設計。
設計で言うと、想像以上に張り巡らされた伏線がもう、見事。「X巻のあのシーンはY巻のあのシーンに繋がるのか」という時間軸の交錯のオンパレードやし、最後、イニシャルがアルファベットの主要人物たちがアイデンティティを取り戻すが如く、固有の漢字が浮き出てくるつくりはホント感動した。
正直俺にはA子さんたちのような経験もキャリアもない。学生時代から10年間ずっと互いの家で泊まったりするような人間関係を持ったことはないし、基本みんな「モテ」側の集団で、モテならではのこんな恋愛経験もない。
けど不思議なのは、キャラクターがとにかく魅了的なので、誰かしらに共感でき、誰かしらに憧れを持てる点(俺の場合、共感したのはK子、憧れを持ったのはA子。これは読んだ人それぞれ違うやろから是非語らいたい)。
パンチラインも多すぎて満腹。特に特に心に残ったのはA太郎が話すA子の言い表し方。
人と比べて自分がどうとか気にしないというか、気づいていないというか
人より速くとか、人より遠くまでとか
そういうことは意識してなくて
泳いでいられれば、それで満足なんだと思う
本作は「①A子視点のA子」と「②A子以外の視点でのA子」に分けられるけど、②の時のA子がもう、魅力的過ぎ。その魅力が1巻後半あたりくらいからずーっと継続してて、んでA太郎が上述の言葉でA子のことをバシッと表した時、「、、、それや!!!」とドンズバで刺さった(「泳ぐ」という意味の7巻の回収の仕方もすごすぎる、、)。
漫画でいうとマジで近年No.1でした。何度読んでも気づきがありそうな点も助かる。『ユリイカ』近藤さん特集も買ったのでもうしばらく浸かります!