『口の立つやつが勝つってことでいいのか』 / 頭木弘樹
タイトル通りのことをたまたま考えてた時期に本屋で見つけて即買い。どこかで字面を見たことがあった著者やけど、多分カフカの本が積まれてたのを見た記憶です。
序盤はタイトル通り、いわゆる「論破は正義」的な世に警鐘を鳴らす方向で、ジョーシキとされるトピックを挙げては疑ってくような作品。ベクトルとしては武田砂鉄さんのスタイルやけど、言葉はずっと柔らかく、また読みやすいようタイトルの章立ての構図もかなり拘ってる。正直言って、タイトルが攻撃的な文言だった分ちょっと拍子抜け、、ここまで優しく書かなくても、もっと憤りを全面に出したものが読みたかったというのが本音です。
そして中盤以降は、タイトルのテーマから逸れて頭木さんのエッセイ的な文章に移ってしまった。穿った見方やけど、テーマに沿った前半部だけだと書籍化が難しかったために継ぎ足した、みたいな作りになっていてこれも少し残念。。言い回しとかはとても面白いのですが、コンセプトを見失ってしまってあまりのめり込めなかったというちょっぴり残念な読書でしたorz
その水にしっくりなじめる魚は、その水のことを考えなくなる。その水になじめない魚だけが、その水について考えつづけるのだ。